中小企業の面接で採用を勝ち取るためには、中小企業に特化した面接対策を行うことが大切です。企業の規模感によって、当日に聞かれる内容や採用のフローは異なるもの。大企業には大企業なりの、中小企業には中小企業なりの面接の勝ち方があるのです。特に地方にお住まいの方では、中小企業の面接の機会が多くなることが考えられます。
本記事では山口県に特化した転職エージェント『じょぶる山口』のキャリアアドバイザーの視点から、中小企業の面接対策に役立つエッセンスを様々な角度からご紹介します。
中小企業の面接の特徴
中小企業の面接対策をはじめる前に、まずは中小企業特有の面接の特徴について確認しておきましょう。紀元前5世紀、中国春秋時代に書かれた「孫子」という兵法書には「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず」という一節があります。これは、相手と自分のことをしっかり把握していれば、いかなる戦いにも勝つことができるという教えです。転職活動においては「相手(中小企業)」と「己(自分自身)」を深く知ることが大切なのです。特徴|①書類選考がない場合がある
中小企業の採用は「書類選考→面接→内定」が一般的な流れですが、企業によっては書類選考がなく、問い合わせ後すぐに面接が実施されることも少なくありません。電話やメールでのやりとりも選考過程の一貫だと心得ておきましょう。
特徴|②面接の回数が少ない傾向にある
採用のフローは企業によっても異なりますが、応募者数が少ない分、大企業に比べると面接の回数が少ない傾向にあります。自分をアピールできる機会が限られているからこそ、本番で全力を出し切れるように入念な準備が大切です。
特徴|③一対一で向き合って行う「会話形式」の面接が多い
中途採用の面接スタイルは、採用担当と向き合って一対一で行われる「会話形式」と、複数の採用担当者によって行われる「質疑応答形式」の2パターンがあります。中小企業では、応募者の人柄を知るために、よりフランクな雰囲気の「会話形式」が多く取り入れられています。質疑応答形式のような堅苦しい雰囲気は少なく、時には「今日は暑いですね」といった世間話が始まることも珍しくありません。過度に畏まる必要はありませんが、アットホームな雰囲気に流されてうっかり馴れ馴れしい態度にならないように気をつけてください。
特徴|④社長面接が行われることもある
中小企業では、社長自らが現場に立ち続けていることも多く、社員との距離も近い傾向にあります。そのため、社長自らが面接官となり、企業の理念に合うのか、長期的に活躍してくれる人材なのかを見極めるケースも珍しくありません。社長ブログなどがある場合は、事前に読み込んだ上で面接に挑むとよいでしょう。
中小企業が求めている人材とは?
採用者が求められるものは、企業によってさまざまです。多くの求人情報には、「明るく主体性のある人」「〇〇の経験がある人」など企業の求める人物像が記載されていますので、熟読しておくとよいでしょう。しかし一方で、どんな中小企業も必ず求める共通のニーズも確かに存在します。
求める人材|①担当以外の業務にも積極的に取り組める人
中小企業と大企業の違いのひとつに、仕事の役割分担があります。大企業であれば「人事」という仕事ひとつをとっても、採用担当や雇用制度の管理、人事事務など役割が細分化され、縦割りの組織になる傾向にあります。社員一人ひとりがプロフェッショナルとして、自分の業務に集中するといったイメージですね。
一方、中小企業は、大企業に比べると社員数は少ない傾向にあるため、一人の人事担当者が人事にまつわる業務をすべてひとりで担う傾向にあります。時には、業務内容が担当している部署の範囲を越えることもあるでしょう。自分が全くやったことのない分野だからといって「できない」と仕事を断ることは、限られた人数で日々結果を出し続ける中小企業の人材としてふさわしくありません。担当する業務は幅広くなりますが、もちろん常に100%の出来栄えでなくてもよいのです。与えられた業務を期間内で、70%でも形にできる。部署間を超えて積極的に仕事を巻き取ることができる。そんな積極性のある人材は、必ず重宝されるはずです。
求める人材|②マニュアルがなくても動ける人
中小企業であれ、大企業であれ、仕事をしている限り必ずトラブルが生じます。そんな時、中小企業で求められるのは、課題をいち早く発見し臨機応変に対応できる力です。大企業であれば、決められたマニュアルがあるかもしれません。
しかし、中小企業では、その場の状況に応じて、臨機応変に自分たちで考え課題を解決していかなければならないことも多くあります。言われたことしかできない人は、戦力にはなりません。中小企業では「マニュアルがない分、自分で考えて仕事ができる」と考えられるくらいの人が、活躍できるのです。
中小企業の面接対策
面接対策は、いわば面接の準備です。面接の準備と聞くと、面接で問われやすい質問に対する答えを用意しておく、面接練習を通してハキハキ喋れるように準備するなどを思い浮かべるかもしれません。確かにそれも素晴らしい準備なのですが、ここではもう少し踏み込んだ対策方法を順番にお伝えしたいと思います。面接対策|①5年後、3年後、入社後のビジョンをまとめる
面接の準備としてまずやっていただきたいのが、転職を通じて何を成し遂げたいのかを掘り下げて考えることです。具体的には、5年後、3年後、入社後のビジョンを自分の言葉で伝えられるように落としこんでいきます。イメージは、ゴールからの逆算です。
「頭で考えても浮かばない」という方は、ぜひペンとノートを用意してみてください。次にノートの冒頭に少し大きめの文字で「この転職で成し遂げたいことは?」とタイトルを記載しましょう。タイトルの下には、3本の分割線を引きそれぞれ、入社後、3年後、5年後と記載し、自分の望みや理想の姿を箇条書きで追加していきます。誰かに見せる訳ではないので、頭で考えるのではなく、心に浮かんだことをそのままノートに書いていきましょう。このとき、5年後、3年後、入社後と遠い未来から逆算して考えるとビジョンがまとまりやすくなります。
面接対策|②ビジョンをもとに
「よく聞かれる質問」の答えを考える
中途採用の面接で必ずといっていいほど聞かれるのが、退職理由と志望動機です。まずは、退職理由から考えていきましょう。「どうして前の会社を辞めたのですか?」という質問は、裏を返せば「転職してもまたすぐに辞めてしまうことはないか」ということを意味しています。退職理由については、「自分はどんな環境で、どんな仕事をやりたいか」を中心に前向きな答えを用意できるとよいでしょう。この時、大切なのは「前の職場では実現できなかった理由」と「転職先の企業なら実現できると思った理由」を言語化することです。
頭の中がいっぱいいっぱいになってしまったら、先ほどのノートを開いて、5年後、3年後、入社後のビジョンを改めて振り返ってみましょう。ゴールに立ち帰ることで、自分がどんな仕事をしたいのか見失わずに済みます。また、「転職先の企業なら実現できると思った理由」はそのまま志望動機としても応用できるでしょう。
面接対策|③求人情報を読み込み「企業のニーズ」を知る
中小企業の面接を突破するためには、企業が求めるニーズを理解し、ニーズにマッチしたアピールを行う必要があります。企業のニーズは、求人情報の至るところに隠されています。例えば、あなたが応募したい求人の募集要項に「明るく活発な人」「営業経験のある人優遇」と書かれていたとします。この企業が求めているのは文字通り、明るく活発な営業マンか、営業経験はなくても明るくてコミュニケーションスキルが高い人です。
求人情報を読み込んだら、続いて、これまでの経験の中にこうしたニーズを満たせるような「経験」や「スキル」があるかを洗い出していきましょう。ここで気をつけたいのは、自己アピールには必ず具体的なエピソードを添えることです。もしも、あなたが面接官だったら単に「コミュニケーションスキルがあります」と言われるよりも、前職での経験を踏まえて具体的なエピソードを語ってもらった方が、より転職後の活躍がイメージできると思いませんか?
エピソードに加えて、「自分の強みを転職先でどのように活かせるのか」まで伝えられると、さらに理想的です。
面接対策|④企業の雰囲気に合った服装で面接に挑む
面接時に着用する服装は、清潔感のあるビジネス向きのスーツが基本です。とはいえ、学生時代に着ていたリクルートスーツは転職活動では少々頼りない印象を与えてしまいます。グレー系やネイビー系などベーシックな色合いのスーツを基本に、TPOに応じた服装を心がけましょう。
中小企業の面接では「私服でお越しください」と言われることもあります。実際に面接官が私服であるという場合も多いです。その場合は、企業も求める人物像を予想し、派手になりすぎない範囲で企業イメージに合った服装を選ぶようにします。求人情報には「社員紹介」として、実際に現場で働いている社員の写真が掲載されていることが多いので、身だしなみの参考にするとよいでしょう。
山口県に特化した転職エージェント『じょぶる山口』では、一般的な求人だけでは得られにくい「職場の雰囲気」や「企業の強み」がわかる社員インタビュー記事を掲載しています。実際に働いている人の表情やメッセージから、あなたに合った転職先を探しませんか?
面接対策|⑤中小企業特有の質問に備える
ここからは、中小企業の面接でよく聞かれる質問を想定し、どのように答えるべきか準備していきましょう。面接官の立場に立って、質問の意図を読み取ることが大切です。残業や休日出勤はできますか?
中小企業の中には、入社後の労働環境でトラブルが生じないよう求職者に「残業や休日出勤があると考えて間違いありません。可能な場合は「全く問題ありません」と明確に答えればよいのですが、問題は子育てや介護など何らかの理由で残業が難しい場合ですよね。現実的に難しい場合は、具体的な理由を述べ、どのような条件なら対応できるのか、相談する形で交渉するとよいでしょう。言葉だけではなく話し方や表情も見られているので、嫌な顔をせず明るく答えることも大切です。
弊社のような小さな企業をあえて希望する理由は何ですか?
大手企業や一部上場企業にいた人が問われやすい質問です。中小企業は大手企業に比べると、給与や待遇に差が出てしまうのは仕方がありません。採用担当者としても、純粋に「どうして、わざわざウチに?」と疑問に感じるようです。この質問への回答で大切なのは、具体的かつ明確な入社意欲を伝えることです。事前に十分な企業研究を行い、企業ニーズとマッチした具体的な理由を述べるとよいでしょう。
『じょぶる山口』のサポートで
中小企業の面接対策ができる
冒頭でもお話ししたように、中小企業の面接回数は大手企業に比べると少ない傾向にあります。たった1度切りのチャンスを逃さないためにも、自己PRがまとまったら、ぜひ鏡の前に立ち本番さながらの面接練習に挑戦してみてください。スマートフォンの撮影機能や録音機能を利用することで、客観的な視点を持つことができ、回答をさらにブラッシュアップできるでしょう。
「1人でできる転職に効果的な面接練習方法」については、以下の記事で詳しくご紹介していますので参考にしてください。
とはいえ、1人でできる面接練習には限界があるのも事実です。また、企業分析をしたいと思ったものの、中小企業側の情報量が少なく、企業ニーズがなかなか掴めないこともあるでしょう。
そんなときにはぜひ、『じょぶる山口』の転職サポートを利用してみてください。
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