これまでの人生で転職活動を1度でも経験した方なら、面接における「練習」の重要性を身に染みるほど実感できるはずです。
転職活動における「面接練習」は、言わば「野球の素振り」のようなもの。普段からまったくバッドを握っていない人が、いきなりバッターボックスに立っても、試合本番でホームランを打つことはできませんよね。
つまり「ここぞ」という場面で力を発揮するためには、本番までの「準備」=「練習」が必要なのです。このように考えてみると、転職活動において練習や事前準備なしに面接本番に挑むことがいかに危険であるか、容易に想像できるかと思います。
とはいえ、これから面接を控える方の中には、
など、転職ならではの1人での面接練習に不安を抱える方も少なくありません。
そこで今回は、キャリアアドバイザーの視点から「1人でできる転職に効果的な面接練習方法」や「1人での面接練習をする意味」について解説します。時間と場所に囚われない面接練習で、あなたが望む転職先の内定を手に入れませんか?
1人の面接練習は意味があるの?
面接の練習をしないとどうなる?
「1人で面接の練習をしたって意味がないのでは?」この記事を読んでいる方の中には、そんなふうに思う方もいるでしょう。
たしかに1人で行う面接練習には
などデメリットがあるのも事実です。当然のことながら、部屋の隅でボソボソと志望動機を呟いてみたところで、転職活動がスムーズに進むわけではないですよね。
1人での面接に意義を感じられないのなら、まずはご自身にこう問いかけてみましょう。
「私はなぜ『面接の練習をしたい』と思ったのだろう?」と。
そこには「本番で焦りたくない」「自分の力を出し切りたい」「今度こそやりがいをもって働きたい」など、さまざまな思いがあるはずです。
冒頭でも述べたように、転職活動における「面接練習」は「準備」がすべて。企業は優秀な人材を確保するために、多くの時間とお金を投資しています。よい人材を確保できなければ、採用にかけたコストがムダになってしまいますから、企業が1回の面接にかける思いには、相当なものがあると予測できるでしょう。
面接官は面接を通して、転職に対するあなたの「熱量」や「本気度」を見極めたいと思っています。
ですから「転職先でどんなことを貢献できるのか」「働きたいと願う企業が求める人材とはどんな人物なのか」…こうした深掘りや準備なしで、面接に挑んでしまえば、企業側があなたを採用するに値しない人材として「お見送り」するのも無理はありません。
1人での面接練習は意味がない?いいえ、面接練習はむしろ1人でこなしてこそ意味があります。
ここからご紹介する手順を踏んでいけば、先ほど挙げた「1人面接練習のデメリット」も怖くありません。それでは、早速面接当日に向けて準備をはじめましょう。
転職活動を成功に導く!1人で面接練習するための事前準備
ここまでは、転職活動における「面接練習」の重要性をお伝えしてきました。「面接練習」が「面接本番への準備」である以上、1人で面接練習を行う際にも事前準備が必要です。
一体どんな準備が?
そのヒントは、先ほどご紹介した「1人面接練習のデメリット」にあります。
たとえば、「面接官役がいないから緊張感が出ない」と感じるなら、本番さながらの緊張感を出すように準備する、「予想外の質問に対応しづらい」と悩んでいるなら、質問を予想できる状態まで掘り下げていくのです。
事前準備では、この2つのデメリットを順番に解決していきます。
1人で面接練習を行うための事前準備 |①本番さながらの緊張感を出す
1人で面接練習を行う事前準備の1つ目は「本番さながらの緊張感を出す」です。面接官役をお願いできる人がいないなら、面接本番に近い環境を自ら工夫して作り出していくしかありません。ここでポイントとなるのは、「自分が練習しやすい環境」ではなく「実際の面接会場の環境」をこと細やかにイメージすること。
そして、どのような状況であれば自分が「緊張感をもって練習できるのか」「真剣に練習できるのか」を考えながら環境を整えていくのです。
環境を「面接本番仕様」に整えられれば、面接練習の事前準備は8割完了したといっても過言ではありません。それでは、各項目について詳しく見ていきましょう。
服装・髪型・メイク・持ち物を面接仕様に整える
「休日に部屋着のまま過ごしていたら、何もやる気が起きずに1日が終わってしまった」なんて、経験をしたことはありませんか? 反対に「服を着替えたらなぜか気持ちがシャキッとする」という方もいるかもしれませんね。
服装には、着る人や見る人の気持ちや行動を動かす力があります。男性であればヘアスタイルやフェイスケア(髭剃りなど)、女性であればメイクにも同様の効果が期待できます。
ですから、部屋着で面接の練習をしても緊張感が出ないのは当然です。1人で面接の練習を行うなら、今すぐ部屋着を脱ぎ捨て、ピシッとアイロンがかかったスーツに着替えましょう。
このとき身嗜みと合わせて、面接に必要な書類・メモ・ハンカチなど、バッグの中身も面接仕様に整えるとより気持ちが引き締まり、緊張感が生まれますよ。
スマートフォンで撮影・録音する
誰かに面接練習をお願いしている場合は「視線が泳いでいる」「声はもう少し大きい方が聞き取りやすい」など、フィードバックを得られますが、1人で面接の練習を行っていると「客観的な視点」をもつことは難しいですよね。そんな時に役立つのが、スマートフォンの録画機能です。身嗜みを整えたら、さっそくカメラの前に立ち、面接本番の気持ちで練習の様子を撮影してみましょう。面接で話す内容や姿勢をカメラで撮影することで、面接官側の視点から客観的に自分自身を振り返ることができ、面接における改善点が見つかるはずです。
スマートフォンで撮影した映像を振り返る際に、とくに意識してもらいたいのが、映像に映るあなたから受ける「印象」です。転職活動で面接官に「よい印象を持ってもらいたい」と思うなら、やはり第一印象は欠かせないポイントとなります。人間には「初頭効果」という心理的な働きがあり、最初に受けた印象がその後の評価に大きく影響を与えると言われているからです。
では、面接における第一印象はどこで決まるのでしょうか?
ひと言でいうなら、「入室の瞬間の立ち姿」。「人の第一印象を決めるのはわずか2秒」とも言われていますから、「転職の面接はドアを開けた瞬間からはじまっている」と心得てください。
背筋を伸ばして、歩幅は大きく、まっすぐ堂々と歩くことが大切です。自分が歩く様子を観察するためにも、スマートフォンで撮影をする際にはカメラを少し離れた場所にセットし、入室の瞬間から録画しましょう。
1人で面接練習を行うための事前準備 |②質問を予想できるまで掘り下げる
1人で面接練習を行う事前準備の2つ目は、「質問を予想できるまで掘り下げる」ことです。面接官役がいないため「予想外の質問に対応できないのでは?」と思うかもしれませんが、準備の仕方次第では、ある程度質問の内容を予測できるようになります。
事前準備をする上でポイントとなるのは「自分が何を伝えたいか」ではなく、「内容が伝わった結果、企業側があなたを採用したいと思うかどうか」を掘り下げることです。
つまり、「相手の目線に立つこと」が転職を制する鍵となるのです。
具体的には、次のようなポイントを意識するだけで面接官役がいなくても質問内容の大枠を予想できるようになります。
それでは、順番に解説します。
採用を担当する面接官の目的を知る
採用を担当する面接官の目的は、「入社してから長期的に活躍してくれる人材かどうか」を見極めることです。先ほども述べたように、企業側はよい人材を採用するために「人件費」や「広告費」「給料」など多くのお金と時間を投資しています。やっとの思いで採用した人材が、入社後すぐに辞めてしまったり、利益を出してくれなかったりすると、企業側は時間的にも金銭的にも大きな損失を受けることになりますよね。
つまり「長期的に活躍してくれる人材かどうかを見極めること」は、企業にとって採用にかけたコストを回収するためにも、今後の利益を生み出すためにも、重要なポイントになるのです。
こうした「面接官の目的」を深く掘り下げていけば、実際の面接でよく聞かれる内容も、質問の角度こそ異なれど、面接官が聞きたい本音は「入社してから長期的に活躍してくれる人材かどうかを見極めたい」という1点に終始していることがわかると思います。
面接でよく聞かれること | 面接官が聞きたい「本音」 |
---|---|
職務経歴を教えてください | 経歴を生かしてどのように活躍してくれるのだろう |
退職理由はなんですか? | 入社後、すぐに辞めてしまわないか心配… |
志望理由を教えてください | 貢献できるスキルと自社に対する熱量が知りたい |
面接官に「私は長く働く人材です」「培ってきたスキルを生かして貢献します」この2点を正しくアピールできれば、面接官はあなたと一緒に働きたいと思い、採用の切符を渡さざるを得なくなるでしょう。
質疑応答の一人二役を演じ分ける
「面接官の視点に立つことが大切」そう言われても、一体どうすればいいのだろうと悩んでしまう方も多いかと思います。そんな方にぜひ取り入れてもらいたいのが、「質疑応答の一人二役を演じ分ける」という新しい練習スタイルです。1人で練習を行う際には、面接で想定される質問にただ答えるのではなく、面接官の役も同時にこなしてみましょう。
たとえば自己紹介をする場合、いきなり「〇〇太郎と申します。前職では……」と話はじめるのではなく、「自己紹介をお願いします」と面接官役を演じた後に「〇〇太郎と申します……」と続けます。
質問に淡々と答えるよりも臨場感があり、「面接官だったらどう感じるだろう?」と相手の視点に立って考える練習にもなります。
一人二役になれてきたら、想定外の質問を考えてその場で自分に投げかけてみてもいいでしょう。頭をフルに回転させながら、自問自答を繰り返す。たったこれだけで、面接練習の精度を高めることができます。
1人でできる効果的な面接練習方法
ここでは、実際に1人で面接練習を行うにあたり、そのまま使える効果的な4つのステップをお伝えします。言わば、1人でできる効果的な面接練習方法の集大成です。これから解説する簡単なステップは、個人面接からグループ面接まで、あらゆる面接に活用できます。
もちろんすべてを完璧にこなす必要はありません。取り入れやすいものから実践してみてください。
それではさっそく1つ目のステップから解説します。
面接練習方法|①企業分析・質問への回答を用意する
最初のステップは「質問への回答を用意する」です。いくら面接の態度が素晴らしくても、回答の中身があまりにも薄っぺらいようでは、面接官に「採用以前に社会人としての教養がない」「本気度が感じられない」など不信感を募らせてしまいます。
企業分析や質問への回答を用意する際に気をつけたいポイントは、「調べればわかることを面接官に聞かない・言い間違えない」ことです。
こうした基本的な内容の確認不足や言い間違えは、「準備不足」といった マイナスのイメージを与えてしまいます。何より、忙しい中面接の機会を設けてくれた企業側にも失礼ですよね。
面接の練習をはじめる前に、もう一度企業の基本情報や質問への回答の内容を見直してみましょう。
面接練習方法|② 鏡の前で「身嗜み」をチェックする
続いてのステップは、「鏡の前で『身嗜み』をチェックする」です。身嗜みを整えることの重要性は先ほどもお伝えしましたが、ここではより具体的なテクニックを解説します。
1番のポイントは「鏡を使うこと」です。可能であれば、全身がしっかりと確認できる大きめのサイズが好ましいでしょう。
面接における第一印象は、ドアを開けた瞬間の立ち姿で決まるため、まずは「片足重心になっていないか」「背筋は真っすぐのびているか」を確認します。お辞儀の仕方や椅子への腰掛け方など、実際に鏡を見ながら練習してみると、日頃の姿勢や仕草の癖に気づきやすくなります。
三面鏡をお持ちの方は「寝癖がついていないか」「髪はしっかり結べているか」など、後ろ姿にも注意を払いましょう。女性の場合は、「メイクが派手になりすぎていないか」「顔と首とのコントラストは不自然でないか」などメイクの仕上がりにも気を配ってください。
面接練習方法|③スマートフォンやWebカメラで練習風景を撮影する
身嗜みを整えたら、いよいよスマートフォンで練習の様子を撮影します。面接本番に近い様子を撮影するためにも、スマートフォンのカメラは全身が映る程度まで離し、水平にセットしましょう。スマホスタンドを使ったり、壁に立てかけたりして、しっかりと固定します。
パソコンを持っている方は、Webカメラを活用してもよいですね。
撮影中は面接官との一人二役を行い、ハキハキとした声で質問に答えていきましょう。途中で言葉に詰まってしまっても、最後まで撮影を続けることで、自分の弱みやより掘り下げるべきポイントが見つかります。
「詰まってしまった…」「うまく話せなかった」と落ち込むのではなく、「改善すべきポイントがわかった」と前向きに捉えてください。
面接練習方法|④ 面接のポイントに沿って振り返りを行う
撮影が終わったら、必ず振り返りを行います。ここでは「面接の際にチェックされる7つのポイント」をご紹介しますので、面接官になったつもりで動画を見返しながら5段階で評価してみましょう。
面接の際にチェックされる7つのポイント
スーツを着崩していないか、清潔感のある身嗜みであるか | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|---|
視線があちこちに泳いでいないか、適度に目を見れているか | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
表情は硬くないか、自然な笑顔が見られるか | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
質問内容と解答にズレがないか | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
話の内容に客観性や具体性はあるか | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
企業分析や質問の回答など事前準備は万全か |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
話が長くなっていないか(1問あたり1~2分が目安) |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
スマートフォンで撮影した練習風景をみてみると、はじめは「こんなにもソワソワしていたのか」と自分の立ち振る舞いにショックを受ける人も多いはずです。
面倒な気持ちになるかもしれませんが、改善点を洗い出し、一つひとつ改善していけば、面接本番で不本意な結果は避けられます。撮影した映像をチェックしながら、あなたに合った「面接の型」を見つけてみてください。
1人での練習だけで不安なら面接サポートを受ける
記事の冒頭では、「転職活動における面接練習は、言わば野球の素振りのようなものだ」とお伝えしました。大切な場面で力を出すためには、やはり練習と準備が必要です。
「1人で練習するのが恥ずかしい」という気持ちを捨てて、何度も何度も練習する。
人から見えない場所で努力を続けられる人は、転職先でも戦力となり必ず成果を出せるはずです。
それでも、「1人でできる面接練習はすべてやりきったけれど、どうしても客観的な視点がほしい」という場合は、転職エージェントの面接サポートを受けるのも有効な手段です。
1人コツコツと面接の練習を積み重ねたあなたにとって、転職エージェントの面接サポートは、絶好の予行演習の場となってくれるでしょう。
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一体なぜでしょうか?
それは「転職希望者が自ら得られる情報に限りがあるから」です。
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